Z世代を代表するデザイナー、一法師拓門氏が手がけるアートなテーラーブランド『TAKT』が 4月4日(木)にローンチされた。
私たちは以前より、一法師さんが顧問を務めるAFA(青学ファッションサークル)へのインタビューなどを通して度々お世話になっているわけだが、今回も是非、とお声がけいただいた。

〇TAKTとは

TAKTはスーツの既成概念を変える、驚きとExciteを届けるオーダースーツブランドです。クリエイティブに生活を彩る「クリエイティブオーダースーツ」を皆様にご提案します。

どこも同じで飽きる、個性を出しづらい、そんな既存のオーダースーツへのイメージを、TAKTでしか実現できないクリエイションで塗り変えます。

紳士的でありエレガントで艶やかな、しかし毒があり硬く冷たい。そんな一法師自身の創造性を表現するアートをスーツと融合して制作しました。

展示会の会場は原宿

筆者が伺った4月4日は展示会初日。観光客や若者で賑わう竹下通りを横目に、少し進むと一気に閑静な住宅地が広がる。道路に面した一角で、「TAKT」展示会が開催されていた。

今回は「クリエイティブオーダースーツ」を制作。パターンから生地選びまで、すべて一法師氏が監修している。


どれも斬新なデザインのスーツで目を引く。
今回は、プリントにもこだわっているという。一つ一つ刷るような形で作られているため、絶妙にインクの乗り具合やかすれ方が異なる。すべてが一点もので、唯一無二の価値がある。またアイテムによってその方法も変えているそうだ。

アートの展示もある

この展示会では今回の「TAKT」のスーツだけでなく、過去に制作して好評だったという「Chaine Project」の作品も飾られている。ポップな色合いのポスターが可愛い。


同時に今制作されているアートも展示。日本人アーティストには珍しい独特な色使いが特徴的だ。
こちらもデジタルで制作し、そのものの色を再現できる印刷技術を使用。今まで紙では再現できなかった、デジタルならではの原色的な色使いが実現した。

テーマは『Stray Cosmos』

この制作のテーマは『Stray Cosmos』。「迷い出る」、などを意味するStrayと、対照的に「秩序」を意味するCosmosを組み合わせた。

左は秩序のなかで悶々とする自我、真ん中はそれが開花した瞬間、右は自分を最大限発揮できた瞬間を表しているという。アートの制作にあたっても、一貫性を保ちながらストーリーを思い描いている。

そしてこのアートも、ただプリントされただけでなく数種類の技法を使って作られている。
一つ一つが、こだわって作られた繊細な作品だ。アートは完売し、大好評だったという。

一法師氏にインタビュー

当日は一法師氏も会場に。今回の新ブランド立ち上げに関して、質問に答えていただいた。

――アート×ファッションでブランドを作ろうと思った背景を教えてください。

一法師:ヨーロッパへ出張する機会も多く、欧米で活躍するファッションブランドを見ている時に突き抜けたクリエイティビティを感じました。自分も海外でデザイン活動したいと考えていたので、自分のクリエイティブに制限を設けず、100%やりたいものを妥協なく作りたいという思いから、リミッターのないアートの表現に挑戦してみようと決断しました。ファッションの歴史や成り立ちには常に敬意を払っていたいのでテーラリングやスーツにフォーカスして1st collectionは制作しました。

――実際に「TAKT」を作ってみて、いかがでしたか。

一法師:展示会に来ていただいた方々には、「新たなファッションを見た」「スーツの概念が変わった」など、嬉しいコメントを頂けております。このスーツ/ジャケットなら着てみたい・見てみたいと思ってもらえるようなブランドにしていきたいです。

――今回、一番こだわったポイントはなんですか。

一法師:コレクション性の高いアイテムを、オーダースーツという形で1点1点、その人に合わせて制作できるように準備を整えたことが最大のポイントです。オーダースーツが軸となっているので、その人の体に最適な状態で、合った生地、フォルムなどを提案することが可能です。着ていただく人個人個人にフォーカスすることができるのはブランドとしてとても嬉しいことです。また、生産工場にもこだわって、日本製のしっかりとしたテーラー工場でクオリティの高い服作りを実現しています。

――「TAKT」に込められた思いを教えてください。

一法師:TAKTという言葉はオーケストラの用語で「指揮者」を意味します。私の名前である拓門(たくと)とも合わせてダブルミーニングでの由来となります。私は学生団体の顧問をしていたり、通常のクライアントワークで様々な企業の方々と関わることが多いので、彼らの創造性を解放して道導(みちしるべ)となるような、そんなブランドになればいいなと考えています。

――今後について

一法師:最大目標はTAKTのコレクションを海外で披露することです。MADE IN JAPANとしてのクリエーションをしっかりと打ち出していきたいと考えています。まずは国内でデザイン活動を進めながら面白いクリエーションを追求していきたいと考えています。

――ありがとうございました。

グラフィックデザイナーとしてだけでなく、自身のアパレルブランドも展開する一法師氏。今後の活躍にも目を離せない。
今回は貴重な機会をありがとうございました。


〇一法師 拓門 / TAKUTO IPPOSHI
グラフィックデザイナー / クリエイティブディレクター。国内外のファッションブランドでデザイナーとして従事した後、デザイン事務所ConcePione(コンセピオン)を立ち上げ独立。ブランド戦略のディレクターとして、ナラティブの構築からコンセプト設計、ビジュアル制作までを手がけている。2022年には自身のアートプロジェクトも始動。
▶ConcePione https://concepione.com/