ファッション業界で活躍する若手クリエイターをピックアップ
佐藤絵美子/北澤武志
共に2006年、セレクトショップ「CANDY」立ち上げで出会い、09年、ブランド設立。12年、東京コレクションにデビュー。13年、ロンドン・ファッションウィーク会期中に開催された「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」のファイナリスト、世界の6ブランドの一つに選出される。ニューヨークの美術館JapanSocietyにて、スピーチとプレゼンテーションに参加。世界最高峰のシャンパンブランド「Dom Perignon」によるDRESSEDUNDRESSEDリミテッドギャラリーを期間限定オープン。第5回「DHLデザインアワード」受賞。
ファッション界に新しい旋風を巻き起こす新進気鋭のクリエイターたち。次世代を担う彼らのクリエイションとは?ファッションで目指す世界観とは?
「assemble=二面性の結合」をブランドコンセプトに展開するドレスドアンドレスド。男性と女性、未来と過去、そして素材においてもそれぞれの個性を損なわずにミックスさせることで新しい価値を生んでいる。デザイナーの北澤武志氏と佐藤絵美子氏の二人は2006年、セレクトショップ「CANDY」のオープニングディレクター兼バイヤーとしてファッションのキャリアをスタート。そのショップで、海外の気鋭のデザイナーが手掛けた作品やヴィンテージの服を取り扱ってきた経験が現在のブランドの礎となっている。
「もともと服をつくることが好き で、自分たちで古着をリメイクした服を店頭に並べていました。それらの服を直接お客さまへ届けて喜ぶ顔に触れたこと、また、海外のクリエイターたちの服づくりを間近で見てきたこともあって、自分たち自身がデザイナーとしての活動を始めたことはとても自然な流れでした」
彼らの服づくりは、テーラード、ニット、パンツなど各アイテムのスペシャリストやクリエイターとチームを組んで進められる。
「09年のブランド設立以来、信頼できる仲間が徐々に増えています。おかげで、コレクションの規模も大きくなってきた。いいチームや環境に恵まれていることが、今とても幸せですね」
13年、ドレスドアンドレスドは「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」のファイナリスト、世界の6ブランドの一つに選出された。この賞は、かつてイヴ・サン=ローランやカール・ラガーフェルド を発掘した栄誉あるもの。今回、この賞にドレスドアンドレスドを推薦した『VOGUE Italia』編集長のフランカ・ソッツアーニ氏は受賞を祝うとともに、二人にこんな言葉をかけた。「日本人デザイナーとして世界的に大きなインパクトを与えたのは川久保玲さん以降いない。受賞したものの、あなたたちが今回グランプリを獲得できなかったのは、そこを超えられなかったからだ。」
「フランカさんの言葉は、そのインパクトを生み出さない限り、世界へは出ていけないという、自分たちが越えるべき壁と、その先の大きな目標を示してくれました」
「abstracts(抽象的な)」をテーマにした16年春夏コレクションでは、時間経過とともに薄れ、消えゆく”記憶”をテキストスタイルやデザインに落とし込んだ。高度な職人技を要するコットンのジャガード織りで表現したエレガントなチェック柄は、今シーズンの代表作。コットンのタフさや触り心地はそのままに、柔らかなドレープをつくりだし、まさにブランドが目指す二面性を結合したクリエイションへの挑戦に磨きがかかる。
二人は プライベートでは夫と妻であり、第1子の出産を控えている。
「デザイナーとして生きていくうえで、いい作品をつくるだけではなく、社会に貢献すること、人に喜びを与えることが大切だと思っています。生まれてくる子供により素敵な未来を残せるよう、これからもデザイナーとしてできる表現を追求していきたい」