ブランドを作り上げたメンバーが語るブランドへの思いとその成功の軌跡
ブランド創設は1995年。ベイクルーズグループである株式会社ラクラスが運営する。品質にこだわったオリジナルアイテムを中心に、ヨーロ ッパをはじめとする世界中からセレクトしたハイセンスな服やバッグ、シューズなどを展開する。都内6店舗を含め、全国に13店舗を構える。
ブランド創設は1995年。ベイクルーズ グループである株式会社ラクラ スが運営する。品質にこだわったオリジナルアイテムを中心に、ヨーロ ッパをはじめとする世界中からセレクトしたハイセンスな服やバッグ、シ ューズなどを展開する。都内6店舗を含め、全国に13店舗を構える
1995年創設の「ドゥーズィエムクラス」。2013年春に行ったリブランディングが功を奏し、以来4年間で売り 上げは順調に推移している。リブランディングでは、コンセプターを新たに迎え「トラッドをベースに肩の力を抜いてファッションを楽しむ」というブラ ンドのコンセプトを再確認。また、本部だけでなく店舗スタッフまで一貫してブランドのコンセプトを認識できるよう、全員の指針となるようなミューズを設定 し、商品構成から店舗内装まで改めて見直すことに。MDの鈴木瑞恵は、「ミューズを決めたことで、コンセプトを見失うことがなくなりました。ミューズを通して誰もが同じイメージを抱けるようになったのです」と語る。そのうえで、ドゥーズィエムクラスのフィルターを通して商品や接客を見直し、世界観を構築していったという。コンセプトの要である"トラッド"の テイストを具現化しているのは、デザイナーである金川博子だ。
「トラッド=ベーシックととらえ、トレンドを踏まえつつも行き過ぎないよう心がけています。見据えているのは、一歩先ではなく半歩先。ドゥーズィエムクラスとしてのあるべきベーシック、やや力の抜けた女性らしさを意識しています」(金川)
デザイナーとして毎回苦心するのが今年っぽいけれど長く使えるベーシックな定番アイテムの打ち出し方。定番だからといって毎シーズン当たり前のように存在するのではなく、その時のテーマに合わせて再構築していく必要がある。リブランディングによって構成比率が増え たオリジナルアイテムの中でも、特に定番アイテムは売り上げに大きく影響す る。どのタイミングで、どの程度、どんな ふうにモデルチェンジするのか、そのさじ加減が難しい。
「ポイントは〝去年も買ったけど、今年も 欲しい〞と思ってもらえること」と語る金 川が指針としているのは、まず〝自分が着たいかどうか〞。自分が着たくないものはつくらない。「自分が生み出すものに 100%自信を持てなければ、出すべきではない。自分がいいと思わないものは、 お客さまもいいとは思わないはず」と信じているからだ。そしてもう一つはブランド の指針である「 for beautiful woman 」を表現しているかどうか。自分も美しくありたい、そしてお客さまも美しくしたいという気持ちを忘れないことだ。
展開戦略は、毎月行われる〝戦略会〞 で店舗の現場と共有される。企画からシーズンテーマが告げられ、それらをビジュアル化したムードボードで、色や空気感、世界観などの詳細が示される。
「テーマや戦略を言葉とビジュアルで共 有できるので、お客さまへもぶれずに案内することができます」と語るのは、表参道店副店長の有賀可奈子。 「リブランディング以降、顧客の幅が広がり、売り上げも順調に推移していま す。販売実績を更新しているため、それを上回る販売予算がつきますが、ほぼ達成できている。人気の理由は、以前よりデザインが洗練され、身体が美しく見えるオリジナルの服が増えたこと。オンオフを問わず、お洒落に着回せる服が増えたことで、お客さまに喜んでいただいています」(有賀)
「定番アイテムを突き詰めて考え直し、そこに〝遊ぶ〞〝トレンド〞〝テーマ性〞など の味付けをしてきた。自分たちがワクワ クできるもの、リアルに着たいものをつくり、それをきちんと販売に落とし込めていることが、好調の要因です。リブランディングから4年、おかげさまでお客さま が期待し続けてくださっているので、その期待をいい意味で裏切っていくことが、 今後の課題だと考えています」(鈴木)
ドゥーズィエムクラスの価格帯はけして安くはないが、それでも売れているの は、スタイリングの幅が広く、長く着ら れるから。顧客に様々な着こなしを提 案するのは、販売スタッフの重要な役割であり、その提案力を支えているのがスタッフのブランド愛だ。有賀も「自分自身が、ドゥーズィエムクラスの大ファン」と公言する。
「トレンド感がありながらも、流行を追いかけ過ぎていない。だから、今だけでなく、その先も着られるのが魅力です」 (有賀)
表参道店には、週に何度も新作が投入される。この入荷を一番心待ちにし ているのが、販売スタッフたちだ。「今度は何が入ってくるのかな?」と、仕事を忘れて自分の買い物計画を考えてしまうほど。そして、「これが欲しい」というスタッフにはすぐに試着させ、皆でコー ディネート提案を行う。
「試着することでサイズ感がわかるし、 『このサイズで着るのがカッコいい』『袖はこれくらいまくるのがお洒落』など、着こなしのテクニックをスタッフで共有す ることができる。入荷した服が「なぜ可愛く見えるのか」を話し合い、「ポケットの位置がここだから」など具体的に分析することで、お客さまにわかりやすい言葉で伝えることができるようになっています」(有賀)
楽しみながら提案の引き出しが増えていくスタッフの買い物は、恰好のロールプレイング。また、「私も持っています」というスタッフの一言が、買い物客の背中を押す場面も多いのだとか。
スタッフの約95 %が女性で、子育てと両立している人が多いのが、ドゥーズィエ ムクラスの特徴。本社事業部では約半数のスタッフが時短勤務で、 17 時を過 ぎると人影がまばらになる。
「子育てをするお互いの気持ちがわかるし、協力し合う風土があるので、働きやすいと思います。その代わり、時短勤務だからといって業務内容の手加減はな し(笑)。責務は増えますが、その分やりがいも大きくなる。社内のスタッフや外部の協力もあり、効率よく仕事を進めることができています」(金川)
「私も産休復帰後にMDとなり、新しい仕事を一から覚えました。大変でしたが、チャレンジさせてもらえるのはうれしいですね。コンセプターも子育て中な ので、メールをすると退勤後でも必ず返 信してくれる。時間が少ないなりに効率を考え、帰宅後の時間をやりくりしています」(鈴木)
ショップでも、スタッフの約2割が子育て中。事業部で初めて時短勤務の店舗管理職となった有賀は、子供を保育園に送って9時30分に出勤。スタッフが出勤する10 時30分までにパソコン作業を済ませ、11時の開店以降は接客やスタッフとのコミュニケーションの時間に充て、17時30分に退勤する。
「時短勤務になり、作業効率に対する意識が一層強まりました。残業が増える とモチベーションにも影響するので、裏業務を効率的に進めて早く帰れるシステムを考え、誰もが長く働ける環境を さらに整えていきたいですね」(有賀)
主に内部のMDとして、企画やコンセプター、外部の買い付けを行うバイヤーなどと打ち合わせを重ねながら、商品構成 を考えていくのが仕事。セクションマネ ージャーとして、商品課スタッフの育成 や月間・半期単位の戦略立案などにも携わってきた経験も。「MDとして、 Deuxième Classeでしか買えない商品をもっと提案していきたい。モノづくりにもさらに深くかかわっていきたいですね」
MD
鈴木瑞恵
2002年に中途入社。Deuxième Classe青山店に配属され、半年で副店長に。その後、丸の内店に異動し、1年半後店長に昇進。自由が丘店、新宿店などを含め、約5年間販売に携わった後、店舗を統括する店舗課のセクションマネージャーに。その後もバイヤーやエリアマネージャーなどを経て2012年8月に産休。復帰後もEC担当などさまざまな職種を経て、現在はMDを担当。4歳 の子供を持つ。
デザイナーとしてのやりがいは、自分のつくったものがお客さまに評価され、それに売り上げがついてくること。また、企業ブランドの一員として働くことで、自 分の世界観が広がっていると実感する ことも。「周囲の何気ない一言に気づか され、自分の想像外の方向に転換して いくことも多い。その積み重ねで自分の 世界観が広がり、それがブランドの世界 観にもつながっていると思います」
企画・デザイナー
金川博子
2008年に中途入社し、Deuxième Classeのデザインを担当。年4回行われる内見会(展示会)に向けて、年間280から300アイテムを制作している。 2歳10カ月の子供がいるので、9時15分から16時15分までの時短勤務中。 産休に入る前よりも手がけるデザイン アイテム数は増えたが、出勤中の電車 内や子供が寝た後などの時間を有効に活用し、“いかにいいものをつくるか” 常に模索し続けている。
MUSE de Deuxième Classe(ミュー ズ ド ドゥーズィエム クラス)は、自店限定展開のブランドもあり、商品の見せ 方を他店とは変えたコンセプトストア。 感度の高い顧客が多い表参道店の副店長として、接客業務に加え、メンバー の教育や日々の業務予定管理などにも携わる。「メンバーの業務の進捗やマインド面の状況などは、店長と密に話し合ったり共有するようにしています」
MUSE de Deuxième Classe 表参道店副店長
有賀可奈子
2008年に新卒入社。Deuxième Classe丸の内店に配属となり、青山店を経て、青山から表参道へ移転オープ ンしたMUSE de Deuxième Classe 表参道店の販売を担当。二子玉川店に一時異動した後、再び表参道店に戻り、16年9月に副店長に昇進。常連客に「有賀さんが言うなら間違いない」と信頼してもらえることがやりがい。7歳と4歳の子供を持つ。時短勤務中。