ファッション業界の最前線で活躍するトップクリエイターの方々にインタビュー
僕のなかで、陸上競技とファッションは連続しているんです。例えば、ブランドの時間軸は、駅伝や短距離リレーに重なります。ブランドを100年続けようと思ったら当然、自分の人生だけでは足りません。今は僕が会社でリーダーシップをとっていますが、いつかは誰かにたすきを渡すことになる。その人がまた次の人につなげて、100年後にたすきを受け取った誰かが、「minä perhonen」の理念を完成させてくれる。こういう考え方は、すごく駅伝的ですよね。
一方、短距離リレーは、世代交代になぞらえることができます。リレーにはバトンゾーンがありますが、自分が失速しているのに次の世代が加速したらバトンはうまく渡せない。かといって自分だけが全速力で走っていたら、バトンを受け取る次の世代がつんのめります。
社員には「もうバトンゾーンに入っているんだよ」と伝えています。ですから次の世代に「minä perhonen」を渡すことが、今の僕にとって現実的な夢。いつかそれが果たせたら、僕は自分が得意な仕事に、より特化したいですね。図案を描いたり、テキスタイルの企画をすることに、残された人生の時間を精一杯使いたい。もし経営から離れて、一人のデザイナーに戻れるのなら、日本で暮らす必要もないと思っています。自分が日常を過ごしたい環境のあるところで、ものをつくることだけに専念したい。そうなると、やはり北欧のどこか、自然に囲まれた場所になるでしょうか。
みながわ あきら皆川 明
1967年 東京都大田区に生まれる
1987年 文化服装学院服飾専門課程Ⅱ部服装科に入学
1989年 文化服装学院を卒業後、大西和子のメーカー「P・J・C」などに勤務
1995年 自身のファッションブランド「minä(ミナ)」を設立。東京・八王子にアトリエを構える
1999年 アトリエを阿佐ヶ谷に移す
2000年 アトリエを東京・白金台に移し、初の直営店をオープン
2003年 ブランド名を「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」に改名。フリッツ・ハンセン社とのコラボレーションで、
「minä perhonen」の生地をまとった家具、エッグチェア、スワンチェア、セブンチェアを発表
2004年 パリ・コレクションに進出
2006年 デンマークのテキスタイルメーカー「KVADRAT(クヴァドラ)」より、自身がデザインする生地が発売される
2007年 京都に2店舗めとなる直営店をオープン
2012年 東京スカイツリー®のユニフォームデザインを手がける
2014年 経年変化を楽しめるようデザインされたインテリアファブリック「dop」を発表
受賞歴
2006年 「毎日ファッション大賞」大賞受賞