ファッション業界の最前線で活躍するトップクリエイターの方々にインタビュー
フリーランスとして3年が経過した頃、「このままステージ衣装など、一点ものをつくる仕事をしていていいのか」という疑問が膨らみ始めました。
その頃、相談に乗ってくれたファッションジャーナリストの平山景子さんが、僕のデザインブックを見て「すごく面白い。だけど、どんなにいいアイデアも、外の世界に出してあげないと腐ってしまう。もうその時期が訪れているのだから、発表しなさい」と言ってくれたのです。
だけど、当時はその方法がわからなかった。大企業のバックアップがなければ、自分のブランドなど出せないと思い込んでいましたから。ところが平山さんは、「あなたなら、自宅の部屋でショーをやっても人は来てくれる。少なくとも私が何人かは連れてくる」と。その言葉で、「自由なやり方でいいんだ!」と吹っ切れた。平山さんの言葉で、僕の人生が大きく変わったのです。
資金は、コンテストで稼いだ賞金と貯蓄、そして事情を話して両親から借りた数百万円。家賃3万円の格安料金で西麻布の一軒家を借りることができ、自分のアトリエも整えました。
僕のデビューコレクションは、遊び場で知り合ってつながったモデルや演出家、ヘアメイクなど、たくさんの仲間に助けてもらって実現しました。彼らもちょうど世の中に出始めるタイミングで、僕が自分の夢を語ると「敬太がやるなら、応援するよ」と、みんな手弁当で手伝ってくれた。デビューコレクションは人生で一度だけのもの。これまでたくさんのコレクションを経験してきましたが、今でもこのコレクションが一番強く印象に残っていますね。
まるやま けいた丸山 敬太
1965年 3月4日、東京都渋谷区生まれ
1971年 神宮前小学校に入学。卒業後、原宿中学校に入学
1979年 豊島区にある本郷高等学校グラフィックデザイン科に入学
1983年 文化服装学院ファッション工科・アパレルデザイン科に入学
1986年 文化服装学院を卒業後、
ビギグループの株式会社キャトルセゾンに入社
1990年 退職して、フリーランスデザイナーとして活動
1991年 DREAMS COME TRUEと出会い、
コスチュームデザインを手がける
1993年 自身のブランド「ケイタ マルヤマ トウキョウ パリ
(KEITA MARUYAMA TOKYO PARIS)」を設立
1994年 1994-1995年秋冬東京コレクションデビュー。
メンズ・レディースの両ラインを発表。K2Mインターナショナルを設立
1997年 1998年春夏パリコレクションにデビュー
1999年 「KEITA MARUYAMAキモノ」をスタート
2005年 パリに初店舗をオープン。「KEITA MARUYAMA Relax」を発表
2008年 故・藤巻幸夫氏を代表取締役に、株式会社テトラスターを設立
2009年 「Wedding Dress KEITA MARUYAMA」を発表
2012年 ワンランク上の新ブランド「KEITA MARUYAMA」を発表
2013年 日本航空の客室乗務員、地上接客部門が着用する制服をデザイン
2014年 株式会社三越伊勢丹ホールディングスと包括的な提携を発表
受賞歴
1996年 毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞
1998年 FCEデザイナー賞