ファッション業界の最前線で活躍するトップクリエイターの方々にインタビュー
パリで実際にお会いした賢三さんは、とても優しかった。だけど、すごく緊張していて、どんな話をしたかあまりよく覚えていません(笑)。
最初にアトリエスタッフの面接があり、持参したたくさんのデザイン画を2つに選り分けられました。片方の大きな山は賢三さんっぽいデザイン画。その画を見ながら「これはいらない。賢三らしいものを賢三以上にできる人間はいないから」と。そして、残った数枚を手に「でも、こちらには興味がある。これは丸山君のスタイルで、君にしかできないことだから」と言われたのです。そんな指摘は初めてだったので、すごく勉強になりました。
ビザの都合もあって採用には至りませんでしたが、賢三さんは「丸山君ぐらいのやる気と自分のスタイルがあれば、どこででもやっていける。まずは日本に帰って企業に入り、仕事というものを覚えなさい。いつかタイミングが合えばウチに来てもいいし、自分がやりたいと思うことを信じて、進んでいってもいい」と言ってくれました。僕にとっては、今も忘れられない大切な人生のアドバイスです。
その後、数カ月間ヨーロッパを放浪して、半年遅れでビギグループに就職。約4年間、アツキオオニシのアシスタントデザイナーとして、社会人の基本や生産販売業の仕組み、デザイナーとして商品を消費者に届けるまでの工程など、アパレルビジネスの基礎を学びました。
まるやま けいた丸山 敬太
1965年 3月4日、東京都渋谷区生まれ
1971年 神宮前小学校に入学。卒業後、原宿中学校に入学
1979年 豊島区にある本郷高等学校グラフィックデザイン科に入学
1983年 文化服装学院ファッション工科・アパレルデザイン科に入学
1986年 文化服装学院を卒業後、
ビギグループの株式会社キャトルセゾンに入社
1990年 退職して、フリーランスデザイナーとして活動
1991年 DREAMS COME TRUEと出会い、
コスチュームデザインを手がける
1993年 自身のブランド「ケイタ マルヤマ トウキョウ パリ
(KEITA MARUYAMA TOKYO PARIS)」を設立
1994年 1994-1995年秋冬東京コレクションデビュー。
メンズ・レディースの両ラインを発表。K2Mインターナショナルを設立
1997年 1998年春夏パリコレクションにデビュー
1999年 「KEITA MARUYAMAキモノ」をスタート
2005年 パリに初店舗をオープン。「KEITA MARUYAMA Relax」を発表
2008年 故・藤巻幸夫氏を代表取締役に、株式会社テトラスターを設立
2009年 「Wedding Dress KEITA MARUYAMA」を発表
2012年 ワンランク上の新ブランド「KEITA MARUYAMA」を発表
2013年 日本航空の客室乗務員、地上接客部門が着用する制服をデザイン
2014年 株式会社三越伊勢丹ホールディングスと包括的な提携を発表
受賞歴
1996年 毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞
1998年 FCEデザイナー賞