ファッション業界の最前線で活躍するトップクリエイターの方々にインタビュー
自分が世界に認められたと思えたのは、’71-’72秋冬コレクションですね。前回とはガラリと変えたシックなデザインが話題となり、ショーを見ていなかった『アメリカンヴォーグ』の編集長が、わざわざアトリエを訪ねてきたほど。ちなみに、その後に発売された『エル』のコレクション特集は、20ページの3分の2が僕の服でした。当時の僕は、自分でも信じられないほど次々とアイデアが湧いてきたし、本当にツキまくっていたんですよ。
73年頃、サンディカ(フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会)から「合同でコレクションを発表しないか」とのオファーを受けました。そこで、74年頃から、オートクチュールのメゾンとプレタポルテ10社ぐらいが、一緒に発表するようになった。これが、現在の「ファッションウィーク」が生まれたきっかけだと思います。僕の中で出来がよかったと思うショーは、’75-’76秋冬の「中国ルック」。もう一つ印象的なのは、’78-’79秋冬の「ミリタリー・ルック」かな。白いチュールを使ったウエディングドレスをつくりながら、「この衣装を着たモデルが、白馬に乗って登場したらかっこいいね」と盛り上がっていたら、何とジルが本物の馬を調達してきた。派手なショーはお金がかかるのに、70年代は好き勝手をしていましたよ。
たかだ けんぞう高田 賢三
1939年 2月27日、兵庫県姫路市生まれ
1958年 神戸市外国語大学を中退し、文化服装学院師範科に入学
1964年 6カ月の予定でパリへ船で向かい、そのまま住みつく
1970年 独立し、自分のブティック「JUNGLE JAP」を開業
1985年 東京にケンゾー・パリ株式会社を設立
1993年 フランスの企業グループ、LVMHにブランドを売却
1999年 「KENZO 30ANS」を最後に、ブランドを退く
2002年 独立デザイナーとして復帰。フランスの通販雑誌『ラ・ルドゥート』にデザイナーとして参加
2006年 「TAKADA」で、2007年春夏コレクションを発表
2010年 パリで「能」をテーマした絵画の個展を開催
AWARD HISTORY
1960年 第8回装苑賞
1972年 日本ファッション・エディターズ・クラブ賞
1984年 フランス芸術文化勲章シュヴァリエ位
1985年 第3回毎日ファッション大賞
1998年 フランス芸術文化勲章コマンドゥール位
1999年 紫綬褒章、国連平和賞の1998年ファッション賞、東京クリエイション大賞「特別賞」
2000年 日本ファッション・エディターズ・クラブ「F.E.C.特別賞」、第22回繊研賞「特別賞」
2001年 平成13年度兵庫県文化賞
2004年 パリ市大金章