近年、フリマアプリや個人売買市場の拡大により、偽ブランド品の流通リスクが深刻化。2024年には、偽ブランド品などの輸入差し止め件数が過去最多を更新し、日本企業の被害額は年間約3.2兆円にのぼるとされている。

こうした中、確かな真贋(本物であるか、贋作であるかを判断する)技術と国内外に広がる販売ネットワークを強みに、リユース市場で着実に実績を重ねてきたのが「OKURA」。
今回は筆者は真贋デモンストレーションなど、これまで一般には公開されてこなかったオークション現場を、実際に体験してきた。

気になるオークション現場に潜入!

ゲオグループである日本オークション協会(JWA)主催オークションは、月間出品数17,000点以上、落札率92%以上の日本最大級のオークション。プロの目利きが集う、オークション現場をメディア初公開した。

出品商品は番号で割り振られた箱の中にそれぞれ分けて保管されており、ずらりと並ぶ。

バッグだけでなく、財布やミニポーチなども並んでいた。Louis VuittonやDior、GUCCIなど有名ハイブランドが勢ぞろいだ。

“安心して買える流通”の裏側

ランドリユースの現場で高い専門性を誇るOKURAの店舗運営課に所属し、日々数多くのブランド品の鑑定を行っている“真贋士”・鈴木さんに、実際の真贋デモンストレーションを行っていただいた。

「真贋(しんがん)」とは、その名の通り“真(ほんもの)”か“贋(にせもの)”かを見極める作業のこと。ラグジュアリーブランドのバッグや時計、アパレルアイテムには、精巧に作られた偽造品が数多く出回っており、それらを正確に見分けるには高度な知識と経験、そして鋭い観察眼が必要不可欠だ。
鑑定の際には、まず目視で全体のフォルムや素材感をチェック。そのうえで「サイトスコープ」と呼ばれる拡大鏡を用いて、縫製のステッチや刻印、金具のディテールまで細かく確認していく。

偽造品はその精度によってA級、S級、N級などに分類されており、とりわけ“N級品”と呼ばれる偽物は、肉眼では本物とほとんど見分けがつかないほどのクオリティ。熟練の真贋士であっても、その差異を見抜くのに時間がかかることもあるほどだという。

こちらは、片方が本物、片方が偽造品である。一見するとまったく同じように見えるこの2つのバッグだが、その違いがお分かりいただけるだろうか。

このバッグの場合は、布の質感、そしてジッパー部分のわずかな歪みや位置の違いで判別する。

その他にも、精密な判別が求められる場面では、サイトスコープと呼ばれる拡大鏡を使用して、プリントや刻印のディテールを拡大し確認する手法がある。肉眼では見落としがちな微細な違いも、このツールを使えば明確に判別できる。

特に有効なのが、プリントのインクの乗り具合を観察する方法だ。正規品は印刷の工程が非常に精緻で、インクが生地の繊維に沿って自然に乗っている。拡大すると、インクが一部掠れていたりと、手作業に近い精密な仕上がりになっている。これらの“わずかな不均一さ”こそが、本物の証とも言える。

今回の検証でも、サイトスコープを通して観察した際、正規品は質感に深みがあり、プリントが生地に自然に馴染んでいる様子が確認できた。

このような視点を積み重ね、ミクロレベルでの違いを見抜くことこそ、真贋士の職人技である。

担当者にインタビュー!

今回は、OKURAで店舗運営1・2地区 エリアマネージャーを務める蓮田さん、日本オークション協会で運営課 課長を務める沖田さんにお話しを伺った。

—―JWAについて教えてください。

沖田:JWAは長年にわたって業者様向け、BtoBのオークションを運営していましたが、近年ではフリマアプリの普及に伴って、若年層や個人のバイヤー様がかなり増えています。その影響で、低資金で仕入れて販売が可能な安価な商品のニーズが非常に高まっています。平均単価にも変化が見られ、幅広いニーズにお応えできる品揃えを取り揃えております。

—―OKURAでの人気ブランドは何ですか。

蓮田:時計に関してはOKURAではダントツでROLEXが人気です。バッグに関しては、やはりHermès、CHANELが売り上げ・お客様の需要ともに高くなっております。Hermèsはモデルにもよりますが100~200万円、CHANELは50~70万円くらいの価格帯のものが人気となっております。

—―今後の業界の展望について教えてください。

蓮田:ラグジュアリーリユース市場は今後も成長を続けていくとともに、新規参入も非常に増えているため、事業者間の競争がより活発化していくのかなと思っています。テクノロジーの進化も著しく、フリマアプリやAI真贋、様々なツールが増えているので、今まで以上にラグジュアリーリユース市場のグローバル化が進んでいくのではないかと考えています。

また、他のリユース市場に比べ、偽造品の対策が今後も課題だと思っています。業界の成長に伴い、診断鑑定や商品知識を持つ専門人材の需要が増加します。「人材確保・育成」「真贋鑑定の技術向上」の部分が、今後の市場の健全な発展に不可欠です。
OKURAでは「人材確保・育成」「真贋鑑定の技術向上」の受注に注力し、今後も業界の発展に寄与していきたいと考えています。

沖田:偽造品対策の徹底、商品の共有の安定化、変化していく顧客のニーズへの柔軟な対応が持続的な発展のカギとなると考えています。

—―ありがとうございました。

OKURAとは

高級腕時計やラグジュアリーブランド、ジュエリーなどの買取・販売を展開するリユースショップ。
年々新しいデザインやブランドが生まれる中、歴史を重ねた年代物の商品やブランドは、多くのお客様に末長く愛
用されています。「価値があるモノ」が循環する社会をつくるために、モノに適正な価格と安心を保証し、手放す
人と欲しい人との出会いを生み出すリユース事業を展開中。

公式サイトURL:https://www.wb-ookura.com/

日本オークション協会(JWA)について

日本最大級の流通量を誇る日本オークション協会。
2013年の事業開始より高級ブランド品の二次流通業界でオークション運営を行い業界発展の一端を担い、2023年
にさらなる進化を目指し、ゲオグループに参画。二次流通業界の重要な中継地点である東京・浜松町にオークショ
ン会場を構え、日本全国から集まる商品は業界トップクラスの月間出品数17,000点以上を誇っています。

公式サイトURL:https://jwa.auction/