韓国・現代百貨店(THE HYUNDAI 현대백화점)は2025年9月19日(金)、東京・渋谷の「渋谷PARCO」4階に、「THE HYUNDAI GLOBAL」の常設リテールショップをオープンする。韓国の百貨店が日本でKブランドを順次紹介するPOPUPを運営した事例はあったが、常設店舗を開くのは初めて。
日本第1号となるTHE HYUNDAI GLOBAL常設店舗は、1~2カ月ごとにブランドを入れ替えるローテーション方式が特徴だ。

初回に登場するブランドは、新進コンテンポラリーブランドであり、K-POPアイドルたちが着用して注目を集めた「TREEMINGBIRD(トリミングバード)」。

10月16日(木)までTREEMINGBIRDの店舗として運営され、日本のMZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)の嗜好を反映したヴィンテージスタイルのワイドパンツなど代表的な商品を紹介する。
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現代百貨店とは

現代百貨店(Hyundai Department Store)は、ロッテ・新世界と並ぶ韓国三大百貨店のひとつ。ソウル・狎鷗亭(アックジョン)に本店を構え、全国に複数の店舗を展開している。もともと富裕層向けにハイブランドを豊富に揃える「高級志向」のイメージが強い百貨店だが、近年はライフスタイルやカルチャーを取り入れた“体験型”の施設づくりにも注力。

その代表例が、2021年に汝矣島にオープンした「The Hyundai Seoul」だ。自然光が差し込む広大な吹き抜け空間に、ファッション、グルメ、アート、カルチャーを融合させた韓国最大級の百貨店として注目を集めている。

従来の「買い物をする場所」から「訪れること自体が目的になる場所」へと進化し、MZ世代をはじめ観光客にも人気のスポットとなっている。

背景と成果

2024年5月10日(金)~7月28日(日)には、現代百貨店が渋谷PARCOでPOPUPを開催。この背景には韓国ファッションへの注目度の高まりがある。K-POPアイドルの衣装やSNSを通じて韓国ブランドが自然に拡散されるなか、「実際に手に取って購入したい」という日本の若者層のニーズが拡大していた。さらに、渋谷PARCOはストリートからハイブランドまで幅広いファッションを発信する場として認知度が高く、K-ファッションを紹介する場として最適なロケーションだった。

実際の成果は想定以上だった。1番目のブランドである「NOICEでは、店舗オープン前から入場の待機列がビルの外周まで伸び、POPUPが開催された1週間で3,000万円以上の販売実績となった。


韓国現代百貨店「The Hyundai」日本ポップアップストア…1カ月で売り上げ1億5000万円突破 写真枚 国際ニュース:AFPBB News

2番目のブランドである「MARITHÉ FRANÇOIS GIRBAUD」は、オープン後初の週末となる5月18~19日、1日5,000万ウォンの売上高を達成し、日本で行われたKファッションブランドのPOPUPの中でも最高レベルの成績となった。
そして人気ブランド「MATIN KIM」の売り場がオープンした24日には、3,000人を超える顧客が殺到し、日本で開かれた韓国ファッションPOPUPのうち、最多人数が訪問した。

この成功により、K-ファッションは「一過性のブーム」ではなく「確かな市場性がある」ことが立証されたといえる。
この背景と成果を受けて、現代百貨店は日本市場への本格進出を決断。単発のPOPUPから、常設店・旗艦店展開へとステップアップし、渋谷PARCOを起点にK-ファッションの発信拠点を築き始めている。

今後について

今回のTHE HYUNDAI GLOBALリテールショップは、常設店舗であるという点で、従来のPOPUP形式よりも立地戦略や運営方式において一段階進化したモデルだ。独自の流通網を構築することで、安定的な流通基盤の確保と、長期的なブランドイメージの構築の観点から転換点になるという。

現代百貨店は東京を手始めに、今後5年間で日本国内に計5つのリテールショップを開設する計画だ。来年上半期中には、表参道のショッピングエリアに、約660㎡(200坪)規模の大型フラッグシップストアを開設する予定で、この店舗には10以上のKブランドが入店する。
今後の展開にもぜひ注目したい。