国内の紳士服市場を長く牽引してきた「タカキュー」。ビジネスウェアからカジュアルラインまで幅広い提案力を持ち、その時代に合わせて着実に進化してきた老舗ブランドだ。

今回は、同社が展開するブランドの魅力、そして新たに発表された新ブランド「DRAW(ドロー)」に迫るべく、担当者の方にお話を伺った。タカキューの“これまで”と“これから”を、アイテム紹介とともに紐解いていく。

タカキューとは? その歴史に宿る理念

タカキューは1950年に創業し、紳士服専門店として全国へ店舗を広げてきたブランドだ。時代の変化に合わせて、ビジネススーツからカジュアルウェアまで扱う幅を広げ、その中で「男性のライフスタイルを豊かにする服づくり」という理念を一貫して守ってきた。

担当者によると、長年支持される理由は“変わらない軸”と“変わり続ける柔軟性”にあるという。

「当社は75周年を迎えました。時代の変化に合わせて、今の働き方も含めて主力のスーツ販売だけでは難しくなってきているのが現状。今まで培ってきたノウハウを活かしながら、時代とお客様に寄り添った服作りを続けていきたい。」

スーツ需要の変化、ワークスタイルの多様化、そして若年層のファッション観の広がり。こうした流れの中で、タカキューは複数のブランドを通じ、より細分化されたスタイル提案を行っている。
主な展開ブランドは4つ。今回はその中でも、主力ブランドの2つを紹介する。

「T/Q(ティーキュー)」― モダンで上質な“大人の定番”

タカキューの中心ブランドのひとつ「T/Q」は、シンプルかつ洗練されたアイテムを展開する。40代をターゲットに、スーツやセットアップ、ドレスシャツやネクタイが人気を博している。
デザインはストイックだが、実際に袖を通すと驚くほど動きやすい。適度なゆとりと機能性素材の組み合わせにより、忙しいビジネスパーソンの日常に溶け込むつくりになっている。

担当者もその強みを次のように語る。

「毎日着られる“ちょうどいい上質感”を目指しています。長く使っていただけるよう、耐久性やシルエットにもこだわっています。」

T/Qのスーツは、細すぎず太すぎない絶妙なバランスのラインが特徴。ジャケット単体でも使いやすく、オン・オフの横断的な着こなしが可能だ。シャツやニットも豊富で、素材のクオリティの高さが続々とリピーターを生む理由だという。

「m.f.editorial(エム・エフ・エディトリアル)」― 仕事も休日も“スマート”に

カジュアルからビジネスまで幅広く揃える「m.f.editorial」は、ライフスタイル型の提案が魅力。30代をターゲットに、“気軽にセンス良く見える”よう計算されたデザインが多く、ファッションに迷いがちな層からの支持も厚い。
特に人気なのが、ジャケット×インナー×パンツ、カセットでの組み合わせや機能が豊富なセットアップ。担当者は次のように話す。

「仕事帰りにそのまま出かけられる、そんな“切り替えのいらない服”を意識しています。きちんと感は残しつつ、快適さも損なわない設計です。」

価格帯も手に取りやすく、初めてタカキューを知る入口としてこのブランドから入る人も多いそうだ。

アイテム紹介 ― タカキューの“今”を象徴する2つの定番

■ 1. TAKA-Q:ストレッチセットアップ

TechMove スリムフィット 2ボタンジャケット チェック紺(セットアップ可能)(S 75紺): ジャケット | TAKA-Q ONLINE SHOP/タカキューオンラインショップ【公式通販】

軽量素材を採用しつつ、見た目は端正なスーツ。シワになりづらく、長時間の移動が多いビジネスパーソンから高評価。自宅で洗えるイージーケアも嬉しいポイント。タイドアップした綺麗目スタイルから、ノータイでのシャツスタイル、シンプルなTシャツやニットと合わせたオフィスカジュアルまで幅広いスタイリングを楽しめる。

■ 2. m.f.editorial:サークルモーションシリーズ


商品検索circle motion | TAKA-Q ONLINE SHOP/タカキューオンラインショップ【公式通販】

迷わず選べて、どこに行っても馴染む
circle motion」の”contra”。保温性がありながら通気孔から湿気を逃がす、冬用の「ドットエア/Dotair」を使用している。保温性、透湿性、ストレッチ、防シワ、ウォッシャブル機能を備えたポリエステル素材で、リラックス感のあるシルエットが抜け感のある着こなしを演出する。

新ブランド「DRAW(ドロー)」の誕生

紳士服ブランドとして長い歴史を持つタカキューが、2025年、新たな一歩として立ち上げたブランド「DRAW」。これまでのタカキューが培ってきた上質なビジネスウェアのノウハウに、よりアート性・個性・現代的な空気感を加えた全く新しいラインだ。

DRAWは、「発見し、映し出し、表現し、纏う。あなたの物語を描こう」をコンセプトに、ブランド名にも由来する「描く」という意味の言葉から、ファッションの未来や自分らしいスタイルを描くようなブランドになってほしいという思いが込められている。タカキューの伝統的なテーラリング技術をベースにしながら、シルエット・素材・ディテールにおいて大胆な挑戦を取り入れているのが特徴だ。

現在はECサイト「ZOZOTOWN」での販売を中心に展開し、若い層をターゲットに新たな顧客層を開拓する。また商品の需要を見て、DRAWの直営店舗の出店も今後は視野に入れていく予定だ。

担当者は、「DRAWは社長が元々デザイナーであったことから、ファッションにもっと力を入れたい!若い層のお客様も取り入れていきたい!という思いで立ち上がりました。メンズ・レディースファッションの枠にとらわれないアイテムが多いので、ご夫婦・カップルでシェアしていただくことも可能。

社長自らデザイン・生地選び・縫製にこだわり、それでいて手に取りやすい価格というところに注力して制作してまいりました。DRAW 衿ボア 合成皮革ブルゾンは¥10,890、起毛 ダブル ロングコートは¥18,480と、だいぶコストダウンした値段設定となっております。」とその魅力を解説した。

広報課も発足!

また、タカキューでは今年初めて広報課が発足した。なぜこのタイミングでの発足になったのか。担当者にその経緯を聞いた。

「75年間、当社に広報課はありませんでした。お客様の支えが強いブランドだったので、新規の露出にフォーカスしてきませんでした。
しかし時代と共に、DMをお送りするために経費がかかったり、セールのために原価からコストを引いたりと、マイナス面も見えてくるようになりました。そこで、顧客様は大切にしながらも会員セールを減らし、新しいブランドやプロモーションの仕方で露出していこう、という経緯で立ち上がりました。」とコメントした。

今年はDRAWがローンチしたタイミングでTikTokをスタートしたり、InstagramやYouTubeにも力を入れている。

「”お客様がいて、タカキューがある”。しっかりと古いものを継続しながら、新しいものを作っていくタカキューにしていきたい。タカキューらしさを保ちながら、これからも発信していきます。」

まとめ

タカキューは、長い歴史を持ちながらも挑戦を続けるブランドだ。「T/Q」の上質さ、「m.f.editorial」のスマートさ、そして新ブランド「DRAW」が提案する創造性。
その3つが重なり合うことで、タカキューの「自分らしいスタイリッシュさ」を支える幅広い世界観が生まれている。

今回のインタビューを通して見えたのは、ただ服を売るだけではなく、“生活をどう豊かにするか”を常に考え続けている姿だった。これからのタカキューが、どんな新しい線を描いていくのか、引き続き注目したいと思う。

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