衣装を探したいスタイリストと、衣装協力でメディア露出をしPRをしたいブランドをマッチングするサービス「STYLIA」を運営するアイエント株式会社。
弊社はこの度ご縁をいただき、そこに登録されているスタイリストさんへのインタビュー取材を連載企画として始めることに決定した。

今回はその第五弾として、フリーランススタイリストの池田友紀さんにインタビューさせていただいた。池田さんは大学卒業時からスタイリストの道に進み、様々な現場を経て現在は映画・ドラマといった映像のスタイリングを多く⼿掛けている。直近ではドラマ「クラスメイトの女子全員好きでした」や2025年公開予定の映画「カラダ探し2(仮)」を担当。

――簡単な自己紹介をお願いします。

スタイリストの池田友紀です。映画・ドラマ・広告など映像の仕事のスタイリングをメインに働いています。出身は奈良県で、学生時代は当時は教員になるのが夢だったので、大学時代は教育学部を卒業しました。

――教員を目指していたところから、なぜスタイリストの道に興味を持ったのでしょうか。

大学の先輩がこの業界の方で、「スタイリストさんがアシスタントで若い子を探している」と声をかけてくださったときに、楽しそう!と思ってバイト程度で始めたのがきっかけでした。担当していたドラマが3~5月の撮影で、卒業時期も関係なく続き…。就活もして内定もあったのですが、アシスタントの仕事が楽しくて、撮影現場と、人がお芝居しているところが面白くて。気づいたら今に至っています。業界歴は25年になりますね。

――何か大きなきっかけはあったのですか。

22歳で大学を卒業して、好きな芸能人やアイドルもいたわけでもなく、仕事にするほど服が好きだったわけでもなかったのですが。「テレビで見ていた役者さんが目の前でお芝居をしている!」とか、「ほぼバイトの私も仕事相手として接してくれる!」といった撮影現場のリアルを目の当たりにして、もちろん多少のミーハー心もあって(笑)、ただ現場が楽しくて続けてきました。

――なるほど。この仕事の楽しいところややりがいを感じる瞬間を教えてください。

台本をいただいて、監督や役者とコミュニケーション取りつつ、人物を作り上げていくところです。キャラクターを作る過程も楽しいし、それが映像になって、私が作った人物を完成できたときにやりがいを感じます。

――様々なカテゴリーがある中で、映像のお仕事が好きな理由は何ですか。

はじめは来た仕事なんでもやっていました。ファッション誌、グラビア、タレントさん専属など様々なお仕事を経験しましたね。
カテゴリーによって、服に求められているものは変わってきます。グラビアだったらいかにセクシーに見えるか、ファッション誌だったらいかに最新のものを買ってもらえるように提案できるか、タレントさんだったらいかに綺麗に映るかとか。

私は、役者を洋服でキャラクターに変身させるのが楽しかったのと、連ドラだったら3~4カ月、映画だったら1~2カ月と、長い時間チームで一つのものを作り上げるのが楽しくて、自然と映像業界がメインになっていましたね。

――様々な経験をした中で、映像のスタイリングの魅力に気づいたのですね。一日のスケジュールを教えてください!

その日に何を撮影するか全て決まっているので、前日に打合せして、当日は朝ロケバスに乗って撮影現場に行って、役者さんにそのシーンにあるお洋服を着せて、終わって帰ってまた次の日の支度をして…という毎日です。

服を着せるだけだったらロボットでもできます。着せたあとどう扱うかとか、シーン・キャラクターに合わせた見せ方を作っていくのが私たちの仕事なので、楽しみながら責任感を持ってやっていますね。

――イメージ作りが大変だったキャラクターはありますか。

ドラマのキャラクターのイメージは基本、世の中にいる人なんですね。それは世の中のキーワードから当てはめて作りこむので、役者さんもスタイリストも、イメージしやすいんです。「OL」とか「高校生」とか。

ないものを言われるのが一番難しいですね。いない人、というか「抽象的なものの人物化」「想像上の人物」はキャラクター設定を細かく作りこんでいきます。監督の中でもなんとなくのイメージだったりすることもあるので、映像の絵的にどう見えるか、お洋風の色合いや素材を重視して提案をします

――大変だった時期はありますか。

私は専門学校を出たわけでもないし、どこかの衣装会社に入っていたわけでもなかったので、リース先や素材、お洋服のブランドの知識が全くなくて、若いときは困りましたね。誰かに教えてもらえる環境ではなかったので、他の人よりそういった面では苦労が多かったと思います。学ぶ場所がなく、全てを経験としてこなさなくてはいけなかったので大変でしたね。

――今までで印象に残っているお仕事は何がありますか。

直近で言うと、今年の4月クールの「くるり~誰が私と恋をした?~」というドラマです。

私たちはブランドさんから衣装協力でお洋服を借りていていますが、ブランドさんはドラマの最後にクレジットが載ることでそれが広告となるメリットがあって貸してくださいます。

「くるり~誰が私と恋をした?~」は衣装の反応が良くて、「ドラマのクレジットを見て」「番組で役者さんが着ている服が欲しくて」といった理由でお洋服を探してくださって、それが売り上げに繋がったようで。いつも無償で貸してくださるブランド様に恩返しというか、意味のあることができたなと思っています。
「このシーンで着ていたお洋服の問い合わせがあったよ」と反応があって、視聴者様がお洋服も楽しみに見てくださっているというのは、制作チームにも伝えています。

ドラマや映画は広告のために制作しているわけではないですが、映像内で着用することで売り上げになっていったら、衣装協力してくださるブランドも増えていくはずです。映像制作とファッション業界がうまくリンクし、お互いWIN-WINな関係が築けたら嬉しいです。

――STYLIAに登録した経緯やメリットを教えてください。

登録はもう思い出せないくらい前ですね。きっかけも覚えていないくらいです(笑)スタイリストを始めたての頃は、他のドラマのクレジットを見て衣装協力しているお洋服屋さん知って、自分で調べて電話して、プレスに行って服を選んで、が当たり前だったので。
STYLIAは実際に足を運ばなくても衣装をネットで探せること、目的のものがすぐ探せることが便利ですごいな、という印象でした。最近は一旦STYLIAでイメージを探してみて、リース集めをするのがルーティンです。

また、今まで知らなかったブランドに出会えるのも魅力の一つかな。新しいブランドや地方のブランドは「メディアに露出したい!」という気持ちが強いので、スタイリスト・ブランドともにメリットを感じるサービスだと思います。

――スタイリストを目指す学生にメッセージをお願いします。

率直に「映画やドラマが好き!」「お洋服で芸能界に携わってみたい!」という気持ちがあれば、まずは挑戦してみてほしいです。私も専門知識がない中でここまでやってこれたので、やってみてダメだったら辞めてもいいし、若いうちはなんでも貪欲に取り組んでいってほしいですね。

――最後に、今後の目標を教えてください

衣装協力とメディアの連携をもっと意味のあるものにしていきたいです。特に深夜ドラマや縦型動画は携帯で見ている人が多いのに、着用していたお洋服の購買にはなかなか繋がらず…。一番の購買層である若い世代を逃しているのがすごく勿体ないというか。小規模なコンテンツでも、衣装協力してくださったブランド様にメリットがあるような循環を作っていきたいですね。
この連携が強くなればファッション業界は発展するし、私たちは衣装協力いただけるお洋服の幅が増えると思うので、今はSNSも使いながら日々奮闘中です。

――ありがとうございました。

インター・ベルのメディアでは、これからもアイエント株式会社様のご協力のもと、アパレル業界においてスタイリストとして活躍される方々へのインタビューを随時更新してまいります。