健康志向の高まりやライフスタイルの変化を背景に、ノンアルコール飲料市場は拡大を続けている。そうした中、サッポロビール株式会社は2025年12月16日(火)、ミズノ株式会社との協働開発によるノンアルコールビール「サッポロ SUPER STAR(スーパースター)」の新商品発表会を開催した。同商品は、2026年2月に近畿エリア限定で発売予定だ。

本商品は、「運動後に楽しむノンアルコールビール」という新たな飲用シーンを提案するもの。発表会には、サッポロビール マーケティング本部長 坂下氏と、ミズノ株式会社 常務執行役員 中田氏が登壇し、開発の背景や両社の想い、今後の展望について語った。

成長を続けるノンアル市場と、新しい飲料ニーズ

冒頭で坂下氏は、ノンアルコール市場の現状について説明。
健康意識の高まりやお酒に求める価値観の多様化を背景に、ノンアルコールカテゴリーは前年比123%と成長を続けており、今後も中長期的な成長が見込まれているという。

一方で消費者のニーズは、「お酒の味を再現したい」という従来の価値から、「普段とは違うものを飲みたい」「気分転換になる新しい飲料を楽しみたい」といった方向へも広がっている。

こうした背景を踏まえ、サッポロビールは「おいしさの追求」に加え、「新しいオケージョンでのノンアル展開」に着目。
これまで“適正飲酒”の文脈で語られることが多かったノンアルコール飲料を、「運動」という切り口から再定義し、運動後にノンアルコールビールを楽しむという新習慣の提案に至った。

「SUPER STAR」とは?

「サッポロSUPER STAR」は、サッポロビールとミズノが共同で開発した、運動後の飲用シーンを想定したノンアルコールビールだ。

「健康であり続けたい」「運動は続けたいけれど、きっかけや楽しみがほしい」——そんなニーズに応えるために誕生した本商品は、運動後のリフレッシュタイムに寄り添う“新しい選択肢”として位置づけられている。

運動を頑張った後に味わう一杯が、次の運動へのモチベーションにつながる。「お客様が長く元気に、食事やお酒を楽しみ続けられるように」という想いのもと、スポーツと飲料、それぞれの知見を生かして開発されたのが「SUPER STAR」だ。

ノンアルコールでありながら満足感のある味わいと、日常に自然に溶け込む飲用シーンの提案により、これまでにないノンアル体験を目指している。

スポーツを「続けたくなる」ための協業

ミズノの中田氏は、同社がスポーツノンアルに取り組む背景について説明。
ミズノでは、競技スポーツに限らず「楽しく体を動かすことすべて」をスポーツと定義しており、大人になるにつれて運動が「つらいもの」になりがちな現状に課題意識を持っていたという。

「運動をやりたくなる、続けたくなるためのツールが必要だと考え、2022年からスポーツノンアルを展開してきました。年々伸びており、確かなニーズを感じています」と中田氏。より多くの人にその価値を届けたいという想いから、サッポロビールとの協業がスタートした。

異業種コラボが生んだ共感と、広がる可能性

質疑応答では、両社がお互いに抱いていた印象や、今回のコラボレーションに対する期待について語られた。

坂下氏はミズノについて、「スポーツは感動を生む存在。ミズノはその進化を支えてきた歴史ある企業で、品質の高さや幅広い競技への取り組みに強い信頼を感じている」とコメント。自身も現在ジョギングを続けていると明かし、今回のテーマへの親和性を語った。

一方、中田氏はサッポロビールについて、「品質の高いものづくりをされている企業」という印象を持っていたと話す。個人的なサッポロビールとの思い出にも触れながら、「企業文化の親和性も高く、非常に良い取り組みだと感じた」と語った。

また今後については、中田氏が「せっかくの機会なので、お互いの強みを生かしながら、さまざまな展開に挑戦していきたい」と述べ、坂下氏も「ミズノの挑戦する姿勢に共感した。責任をもって、多くの人にこの取り組みを広げていきたい」と意欲を示した。

運動後の一杯が、新しい習慣になる未来へ

「サッポロSUPER STAR」は、近畿エリア限定での発売からスタートするが、今後は全国展開も視野に入れているという。さらに、2026年2月には大阪での体験会も予定されており、実際に“運動後に飲むノンアルコールビール”という新しい体験を届ける場づくりにも力を入れていく。

味づくりについて坂下氏は、「スポーツ後にフィットする味」に特にこだわったと語る。
「ホップの爽やかさを重視し、運動後でもすがすがしく飲める味わいを目指しました」。単なるノンアルコールビールではなく、飲むシーンまでを想定した設計が、「SUPER STAR」の大きな特長だ。

一方、中田氏は今回の協業を、新たな事業に挑戦する理由と重ねて説明する。
「ミズノでは“スポーツをする”ということを非常に広く捉えています。体を動かして、健康で気持ちのいい体験をしていくこと。その動機付けになればいいなと思い、こうした取り組みを続けてきました」。

運動を“頑張るもの”から、“気持ちよく続けられるもの”へ。その先にあるのが、運動後の一杯としての「サッポロSUPER STAR」だ。

まとめ

発表会の締めくくりとして、両氏は「運動後にノンアルコールビールを飲む」という新しい体験を、多くの人に届けていきたいと語った。

「運動後の一杯が、次も体を動かしたくなるきっかけになればうれしい」と中田氏。
坂下氏も、「これまでになかった発想だからこそ、実際に体験してほしい。ミズノと連携しながら、さまざまな形でマーケティングを展開していきたい」と話した。

スポーツとビール、異なる領域が交わることで生まれた「サッポロSUPER STAR」。
その一杯は、運動と日常の距離を縮める、新しい習慣の入口となりそうだ。