衣装を探したいスタイリストと、衣装協力でメディア露出をしPRをしたいブランドをマッチングするサービス「STYLIA」を運営するアイエント株式会社。
弊社はこの度ご縁をいただき、そこに登録されているスタイリストさんへのインタビュー取材を連載企画として始めることに決定した。

今回はその第四弾として、フリーランススタイリストの松本人美さんにインタビューさせていただいた。松本さんは2005年より4年間、アシスタントとしてスタイリスト安野ともこ⽒に師事。2010年よりフリーランスとしてスタイリストを
スタートし、現在は、広告・映画・ドラマ・舞台・芸能⼈のスタイリングなど幅広く⼿掛けている。

――簡単な自己紹介をお願いします。

スタイリストの松本人美と申します。アシスタントを4年間経て2010年ごろからフリーランスになり、今は映画・ドラマ・広告・CMなど映像の仕事のスタイリングをメインに働いています。

アシスタント時代は広告の現場が多、ドラマなどはあまり携わってこなかったのですが、独立してからは様々なご縁もあり、現在は、映画やドラマのお仕事がメインとなっています。

――なるほど!映画の撮影などだと、何カ月もかけて行うのですか。

最近は撮影期間もコンパクトになってきているので、長くても1カ月から1カ月半くらいですね!キャラクターやシーンに合わせてお洋服を決めて、リースして揃えるまでの方が時間がかかります

――直近ではどんな作品をやられていたのでしょうか。

11月22日に公開予定の「アングリースクワッド」という映画です。韓国ドラマが原作のものを、「カメラを止めるな!」でお馴染みの上田慎一郎監督が映画化するものです。

あとは、10月13日から放送されている朝日放送テレビ、ドラマ離婚後夜」という深夜ドラマの撮影を直近までしていました!

――一日のスケジュールを教えてください。

ドラマや映画の撮影がある日の一例となりますが、だいたい朝6時くらいに集合して、ロケバスで現場へ向かいます。メイク、スタイリスト、助監督のバスが先に出発するのが基本です。その後にキャスト監督、カメラマンやプロデューサーなど他のスタッフが時差で到着して、それぞれが準備をして撮影が始まるという流れですね。ドラマは話数を超えて、撮影場所が同じところをまとめて撮影することもあるので、コロコロ衣装も変わります早朝から深夜まで撮影準備、スタイリングと撮影に対応します。
すべての撮影終了したら丸一日リース返却の日を設けて、それぞれのブランドさんを巡って返却対応となります。

――スタイリストになろうと思ったきっかけ・理由は何ですか。

私ははじめからスタイリストになりたい!とあまり思っていなくて。元々洋服にはすごく興味があったのですが、どちらかというと作る方(パタンナー)に興味がありました。

私、最終学歴がオーストラリアのアパレル専門学校なのですが、日本に帰ってくるタイミングだと時期がずれてしまってなかなか求人がなく…。加えてそういったお仕事は実務経験が問われるのであまり新規採用がなく最初はアパレルの販売員になりました。1年くらい続ける中で、お客様に対してコーディネートする楽しさに気づき、スタイリストという職業を意識するようになりましたね。

でも当時は、どうやったらスタイリストになれるのかもわからない状態。販売員をしながら、東京の本部から来てくださるバイヤーさんに相談したところ「まずは東京でアシスタントになるのが近道だよ!」と聞いて、とりあえず上京し、アシスタント募集のところに履歴書を送り…。そこでご縁があったのが安野さんで、アシスタント生活が始まりました。自分の中では本当に未知の世界に飛び込みましたね。

――この仕事の楽しいところややりがいを感じる瞬間を教えてください。

どんなことがあっても、やっぱり現場に行くと楽しいなって思います。この仕事は朝早いし撮影は長丁場で大変ですが、現場に行くと色々な人が集まって一つの作品を作り上げるために真剣に向き合っていて、その光景が好きです。様々なジャンルのプロの方と現場でコミュニケーションをとれることも楽しいですね。

また、作品が完成し放送・公開され、エンドロールに自分の名前が載っているときに、「この作品のスタッフの一員だったんだ」「自分たちがこの作品の一部の世界観を作っているんだ!」と実感して、やっててよかったなと感じます。

――スタイリストになって大変だった時期はありますか。

やっぱりアシスタント時代です。10年以上前の話なので今は変わってるかもしれないですが…(笑)本当に寝られないんだ!とびっくりしました。事務所の近くで一緒に働くアシスタントとシェアハウスして、ほぼ住み込みみたいな生活でした。休みもないし、本当に時間がなくて、何度もやめようと思った時期がありました。

半年くらいその生活が続いて本当にやめようかと思っていた時、友達に「それでも半年続いたんだから、もう半年続けられるよ!」と背中を押されて、妙に納得してしまって(笑)あと半年やってみよう、の繰り返しで続けていたのが正直な気持ちです。その後は、フリーランスになるタイミングでも不安だらけでしたが、やっぱりこの仕事が好きで、今に至ります。

――今までで印象に残っているお仕事は何がありますか。

CMの仕事で上海に行かせていただいたことがあって。中国、韓国などで流す自撮りカメラの広告だったのですが、衣装は日本で作って、フィッティングは現地でやるというなかなかドキドキな撮影でした。

モデルさんのサイズ表だけもらって監督と話しながら1から作って、上海に持って行って、いざフィッティング!まさかのサイズが合わず…。メインの女の子は想定より背も低かったので、監督から「その子だけ高いヒールを履かせてほしい」と指示を受けて。私は中国で理想の靴を探さなければいけない!という予想もできないシチュエーションでした。

――ええ!結局大丈夫でしたか?!

現地のコーディネーターの方に同行していただき、翻訳してもらいながらなんとか見つけて購入しました。色々なカルチャーショックもあり、忘れられない経験でしたね。

――STYLIAに登録した経緯やメリットを教えてください。

登録して8年くらいになります。たしかアイエントさんからお声がけいただいた気がします。いつも本当に助かっています!自分が現場に入っていてリースに行けないことが多いので、隙間時間でスマホで探して配送していただける、という点で本当に楽になりましたね。

――パタンナーやスタイリストを目指す学生にメッセージをお願いします。

何事も初めから全てが上手くいくことはないと思っています。私もやめたいと思ったことはありましたが、やっぱりこの仕事が好きで、なんとか続けてきて今の自分があるので、諦めないでやりたいことはやってみてほしいです!

それに昔は募集を探すのも大変でしたが、今はSNSやネットなど様々なすべがあると思うので、気になることはどんどん調べて動いてみるといいと思います。

――最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください!

今までやらせていただいた映像のお仕事は幅広くあるのですが、コンテンツはこれからますます増えていくと思います。なにか新しいコンテンツで面白そうなものがあればやってみたいなと思っています。新しいことには貪欲に挑戦していきたいです!

――ありがとうございました。

インター・ベルのメディアでは、これからもアイエント株式会社様のご協力のもと、アパレル業界においてスタイリストとして活躍される方々へのインタビューを随時更新してまいります。